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2025/04/21
空き家を放置するとどうなる?税金・治安・倒壊リスクを解説
少子高齢化や人口減少により、全国的に空き家が増加傾向にあります。市川市でも空き家問題は年々深刻化しており、相続後そのまま放置されている物件が少なくありません。空き家を持っている方、または将来的に相続する可能性がある方は、放置することでどのようなリスクが生じるのか理解しておくことが重要です。株式会社NR企画では、市川市での不動産売却や相続相談の中で、多くの空き家に関する問題に対応してきました。本記事では、空き家を放置するリスクと対策について詳しく解説します。
目次
空き家を放置することによるリスクの概要
空き家問題の現状と背景
近年、空き家の増加は全国的な問題となっています。総務省の住宅・土地統計調査によると、日本の空き家率は年々上昇しており、全国の空き家数は約849万戸、空き家率は13.6%(2018年時点)に達しています。特に問題視されているのが、「その他の空き家」と分類される、賃貸・売却用でも別荘でもない空き家で、管理が行き届いていない放置空き家です。
空き家が増加する背景には、以下の要因があります:
- 少子高齢化と人口減少
- 相続後の活用方法が決まらないまま放置
- 都市部への人口集中による地方の過疎化
- 新築志向による古い住宅の需要低下
- 解体費用や固定資産税増加への懸念
市川市においても、高齢化の進行や相続問題により空き家は増加傾向にあり、適切な管理がされていない物件が地域の問題となっています。
放置空き家がもたらす多岐にわたるリスク
空き家を放置することにより、以下のリスクが発生します:
- 経済的リスク:固定資産税の増加、資産価値の低下、維持管理費の負担
- 安全面のリスク:倒壊の危険、部材の飛散、火災リスク
- 社会的リスク:治安悪化、犯罪の誘発、不法侵入
- 環境衛生上のリスク:害獣・害虫の発生、不法投棄、悪臭
- 法的リスク:近隣トラブル、損害賠償、行政処分
空き家を放置することによる具体的なリスク
税金のリスク:固定資産税などの負担増加
空き家を所有していると、たとえ使用していなくても固定資産税や都市計画税などの税金が毎年かかります。通常、住宅用地には固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が適用されていますが、特定空家等に指定されると、この特例が適用されなくなります。
住宅用地の特例による固定資産税の軽減:
- 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税評価額の1/6に軽減
- 一般住宅用地(200㎡超の部分):固定資産税評価額の1/3に軽減
特定空家等に指定されると、これらの軽減措置が適用されなくなるため、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。また、2023年の空家法改正により、「管理不全空家」として認定され勧告を受けた場合も、同様に特例措置が適用されなくなります。
例えば、市川市の住宅地で200㎡の土地を所有している場合、特例適用時と比較して税負担が年間で数十万円増加することもあります。このように、空き家を放置することで無駄な税金を払い続けることになるのです。
治安のリスク:犯罪の誘発、不法占拠など
管理されていない空き家は、犯罪の温床になりやすいという特徴があります。具体的には以下のようなリスクがあります:
- 空き巣:無人であることから侵入盗の標的になりやすい
- 不法占拠:ホームレスや不法滞在者が住み着く可能性がある
- 放火:放火犯の標的となり、火災のリスクが高まる
- 犯罪者のたまり場:不法薬物の取引や非行の温床となる
これらの問題が発生すると、近隣住民の安全が脅かされ、地域全体の治安が悪化する恐れがあります。市川市のような都市部では、放置された空き家が地域の治安問題に発展するケースも少なくありません。
空き家の周囲に人の出入りがないと認識されれば、犯罪者にとって格好のターゲットとなります。定期的な見回りや管理が行われていない空き家は、地域の治安悪化の原因となる可能性が高いのです。
倒壊のリスク:建物の老朽化による倒壊、部材の落下
空き家を放置すると、建物の劣化が急速に進行します。人が住んでいない家屋は、小さな損傷も発見・修繕されないため、時間の経過とともに深刻な問題に発展していきます。
特に注意すべき倒壊リスクとして:
- 屋根材や外壁の落下:風雨で劣化し、落下の危険性がある
- 基礎の沈下や傾斜:地盤変化や湿気により基礎が傾く
- 地震や台風による倒壊:老朽化した建物は耐震性が低下する
1981年以前に建てられた空き家の多くは旧耐震基準で建設されており、現行の耐震基準と比較して地震に対する安全性が低い傾向にあります。市川市内の古い住宅街には、こうした旧耐震基準の建物も多く存在しています。
建物の倒壊や部材の落下は、通行人や隣接する建物に甚大な被害をもたらす可能性があります。そのような事故が発生した場合、空き家の所有者は高額な損害賠償責任を負うことになるでしょう。
衛生面のリスク:害獣・害虫の繁殖、不法投棄など
空き家を放置すると、様々な衛生問題が発生します。主な衛生面のリスクとして以下のようなものが挙げられます:
- 害獣の侵入と繁殖:ネズミ、アライグマ、ハクビシン、コウモリなどが住み着く
- 害虫の発生:シロアリ、ゴキブリ、スズメバチなどが巣を作る
- 不法投棄:敷地内へのゴミの不法投棄が増加する
- 悪臭の発生:害獣の糞尿や死骸、腐敗したゴミなどから悪臭が発生
これらの問題は、空き家の所有者だけでなく、近隣住民の生活環境にも大きな悪影響を及ぼします。特に害獣や害虫は、空き家から周辺の住宅にも拡散する可能性があります。
シロアリの被害は建物の構造自体を脆弱にし、建物の価値を大幅に低下させます。また、不法投棄されたゴミは次々と増加する傾向があり、一度発生すると解決が難しい問題となります。
法的責任のリスク:損害賠償責任、行政からの指導・命令
空き家の所有者には、その建物を適切に管理する責任があります。管理を怠った結果、以下のような法的リスクが生じる可能性があります:
- 民事上の損害賠償責任:空き家の倒壊や部材の落下によって、第三者に損害を与えた場合
- 行政処分:特定空家等に指定され、行政からの指導・勧告・命令の対象となる
- 罰則:行政命令に従わない場合、50万円以下の過料が科される可能性
- 行政代執行:所有者が対応しない場合、行政が強制的に措置を講じ、費用を請求される
2023年の空家法改正により、特定空家になる前段階の「管理不全空家」として認定され、指導・勧告の対象となる範囲が広がりました。これにより、より多くの空き家所有者が行政指導の対象となる可能性があります。
市川市においても、管理不全空家に対する指導が強化されており、放置すれば行政からの指導や処分を受けるリスクが高まっています。
空き家問題への対策
空き家法改正による対策強化
2023年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」が改正され、空き家問題への対策が強化されました。主な改正ポイントは以下の通りです:
- 管理不全空家制度の新設:
- 特定空家になる前段階の空き家を「管理不全空家」として認定
- 指導・勧告の対象とし、勧告を受けると住宅用地特例が適用されなくなる
- 空き家の活用や管理に取り組むNPO法人等を市区町村が指定
- 所有者からの相談対応、空き家の活用や管理の支援を行う
- 空家等活用促進区域制度の新設:
- 市区町村が重点的に空き家の活用を図るエリアを設定
- 建築基準法の規制緩和などにより、空き家の活用を促進
- 行政による代執行の円滑化:
- 緊急性の高い特定空家等に対して、命令等の手続きを経ずに行政が強制撤去できる仕組みの導入
これらの改正により、空き家の管理責任が強化される一方で、空き家の活用を促進するための支援体制も整備されつつあります。
空き家の適切な管理と活用方法の重要性
空き家問題を解決するためには、所有者による適切な管理と積極的な活用が重要です。具体的な管理方法として以下が挙げられます:
- 定期的な見回り:月に1回程度、建物の状態を確認する
- 建物の維持管理:雨漏りや破損箇所の修繕、庭の草刈りなど
- 換気や通水:カビや配管の劣化を防ぐため、定期的に換気や通水を行う
- 管理サービスの利用:遠方に住んでいる場合は、空き家管理サービスを利用する
特に市川市のような都市部では、放置による資産価値の低下が著しいため、早期の対策が重要です。空き家を放置せず、売却や賃貸など有効活用を検討することで、所有者自身の負担を減らし、地域社会にも貢献することができます。
空き家の有効な活用方法
売却、賃貸、更地にするなど、状況に応じた活用方法
空き家の状態や立地条件によって、適した活用方法は異なります。主な活用方法とその特徴は以下の通りです:
- 建物ごと売却する
- メリット:解体費用がかからず手続きが比較的簡単
- 適している状況:築年数が浅い、状態が良好、立地条件が良い
- メリット:収入を得ながら資産を維持できる
- 適している状況:駅近など需要がある地域、リフォーム費用に見合う家賃設定が可能
- DIY可能物件として貸し出す
- メリット:大規模リフォームせずに賃貸できる、若年層に人気
- 適している状況:古い物件でも骨組みが丈夫、リノベーション需要がある地域
- 解体して更地にする
- メリット:固定資産税負担は増えるが、売却や活用の選択肢が広がる
- 適している状況:建物の老朽化が進んでいる、土地の評価額が高い地域
- 駐車場として活用する
- メリット:比較的低コストで運用開始可能、一定の収入が見込める
- 適している状況:駅近や商業施設付近など、駐車需要が高い地域
市川市内でも、立地条件によって最適な活用方法は異なります。中でも駅周辺の物件は賃貸需要が高く、地価も安定しているため、積極的な活用が期待できます。株式会社NR企画では、市川市内の空き家の状況に応じた最適な活用方法をご提案しています。
空き家活用を促進するための支援制度や税制特例
- 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除
- 相続した空き家売却時、譲渡所得から3,000万円を控除
- 適用条件:相続開始から3年以内の売却、昭和56年5月31日以前に建築された住宅など
- 空き家解体の補助金制度
- 市区町村により、特定空家等の解体費用の一部を補助
- 補助額:一般的に30万円~60万円程度(自治体により異なる)
- リフォーム補助金
- 空き家をリフォームして活用する場合の費用の一部を補助
- 耐震改修や省エネ改修などの特定のリフォームに対する補助金制度
- 空き家バンク制度
- 自治体が空き家の情報を集約し、購入・賃借希望者に提供するマッチングシステム
- 登録料・利用料は無料の場合が多い
まとめ
空き家を放置することは、税金の負担増加、治安悪化、倒壊リスク、衛生問題、法的責任など、多くのリスクを伴います。これらのリスクは時間の経過とともに深刻化し、所有者自身や周辺地域に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
2023年の空家法改正により、空き家の所有者の管理責任はさらに強化され、「管理不全空家」として指導・勧告の対象となる空き家の範囲も広がりました。一方で、空き家の活用を促進するための支援体制も整備されつつあります。
市川市内の空き家を所有している方は、放置するリスクを十分に理解し、早期に有効活用を検討することをおすすめします。空き家の状態や立地条件に応じて、売却、賃貸、解体など最適な方法を選択することが重要です。
株式会社NR企画では、市川市を中心に空き家の売却や活用についてのご相談を承っています。空き家問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。適切な対策を講じることで、所有者の負担を軽減し、地域社会の安全・環境の維持にも貢献できます。